賃貸の退去、家の売却やリフォームの前、相続した実家。そうした場面で建物の中に残った家具や家電、生活用品をまとめて「残置物」と呼びます。残置物撤去の費用を調べると、サイトによって大きく違う金額が並んでいて、かえって分からなくなっていないでしょうか。
金額の幅が大きいのは、残置物撤去の費用が定価ではなく、荷物の量、建物の条件、作業の中身、そしてどのサービスとして見積もるかで変わるためです。
この記事では、残置物撤去の費用が何で決まるのか、誰の負担になるのか、見積もりを取る前に確認しておくことを、私たち七宝グループが行った実際の作業事例とあわせて整理します。
残置物撤去の費用や相場が一律ではない理由
残置物とは、退去・売却・相続などの場面で、それまで住んでいた人の家具・家電・衣類・生活用品などが建物内に残されたものを指します。残置物撤去は、これらを仕分けして運び出し、ルールに沿って処分するまでの作業です。
インターネット上には、間取り別や容量あたりの相場を掲載しているサイトがありますが、サイトによって金額が大きく食い違います。前提となる荷物量・建物条件・作業範囲・地域がそれぞれ違うためで、どの数字も「自分のケースの金額」ではありません。
実際の費用は、おおまかに次のかけ算で決まります。
- 荷物の量と品目(トラック何台分か、処分費のかかる物がどれだけあるか)
- 作業条件(階段や搬出経路、仕分けの丁寧さ、期限)
- 依頼するサービスの区分(この後で説明します)
そのため、この記事では確かめようのない相場の数字を並べるのではなく、費用を左右する条件と、見積もりを正しく比べる方法を説明します。
残置物撤去の費用が変わる7つの条件
見積もりに影響する主な条件は次の7つです。ご自身の物件がどれに当てはまるかを整理しておくと、見積もりの精度が上がり、比較もしやすくなります。
- 荷物の量
- 品目家電4品目・危険物
- 搬出条件階段・駐車
- 仕分けの有無
- 買取できる品
- 期限
- 追加作業取り外し・解体など
①荷物の量
費用を左右する主な要因の一つが荷物の量です。必要な人数、作業時間、トラックの台数、処分費のすべてに関わります。
札幌市豊平区で行った引っ越し前の片付けでは、荷物量が約5立方メートルと比較的少なめで、4階の階段作業を含めても約6時間で終了しました。同じ間取りでも、収納や物置まで物が詰まっている場合は、これより大きく変わります。

②品目
テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンの家電4品目は、家電リサイクル法の対象で処分ルートも費用も別枠です。ほかにも、スプレー缶や電池などの危険物、ピアノや金庫のような重量物は、扱いが変わります。処分費のかかる品目がどれだけあるかで、同じ「トラック1台分」でも総額は変わります。
③搬出条件
エレベーターの有無、階段の階数、道路からの距離、駐車スペース、養生の必要性など、運び出す条件も人員と時間に直結します。先ほどの豊平区の現場は4階の階段作業で、荷下ろしに人手のかかる条件でした。
④仕分けの有無
「全部まとめて処分してよい」のか、「貴重品や書類を探しながら仕分けてほしい」のかで、作業の性質が変わります。仕分けを丁寧に行う分だけ時間はかかりますが、現金や重要書類、思い出の品を守れるという意味では、単純な処分作業とは別の価値があります。
⑤買取できる品があるか
再利用できる家電や家具、貴金属、昭和レトロの雑貨などは、査定のうえ買取できる場合があります。札幌市厚別区の団地(広めの2LDK)で行った家財整理では、仕分け中に18Kのメガネフレームと現金が見つかりご依頼者さまへ返却したほか、家電やレトログッズの査定で、この事例では買取総額が約6万円になりました。買取分は作業費用から差し引ける場合がありますが、金額は品物の状態と市場次第のため、あらかじめ見込むことはできません。
⑥期限
退去日や引き渡し日が迫っている場合、人員の確保や収集運搬の手配を短期間で組む必要があります。札幌市白石区の1LDKでは、入院により自宅へ戻れなくなり退去日が迫る中でご家族から相談を受け、この事例では見積もりから数日で作業を開始し、2名で9時から15時頃まで仕分け・搬出・回収を行って部屋を空の状態にしました。
日程に余裕があるほど段取りの選択肢は増えます。期限が見えた時点で早めに相談すると、日程や作業方法を選びながら段取りを組みやすくなります。
⑦追加作業の有無
残置物の撤去とあわせて必要になることがある作業もあります。エアコン・ストーブ・衛星アンテナ・風呂釜などの設備取り外し、物置や車庫の解体、汚れが強い場合の清掃、仏壇や神棚のお焚き上げなどです。こうした作業が基本の撤去費用に含まれるかどうかは見積もりによって違うため、必要になりそうな作業は最初に伝え、見積書でどう扱われているかを確認してください。
どのサービス区分で見積もるかで金額が変わる
七宝グループの公式の料金表で公開しているのは、ゴミ屋敷清掃・遺品整理/生前整理・不用品回収という3つの区分の目安で、「残置物撤去」という単独の料金表はありません。ご自身の状況がどの区分の作業に当たるかを、次のような整理を参考に、見積もりの際にご確認ください。他社と比較する場合も、どの区分・どの作業内容としての見積もりかをそろえると比べやすくなります。
| 区分 | 主な状況 | 作業の性質 |
|---|---|---|
| 不用品回収・家財整理 | 通常の生活状態の部屋から家財を運び出す | 搬出と処分が中心 |
| 遺品整理・生前整理 | 故人さまやご本人の持ち物を扱う | 貴重品を探す仕分けが中心 |
| ゴミ屋敷清掃 | ごみの堆積や汚れがある | 袋詰め・清掃を含む重い作業 |
料金表では、この3区分それぞれについて間取り別の目安が公開されています。たとえば遺品整理/生前整理の区分では1R・1Kで30,000円からといった幅ですが、これは札幌市内と札幌市内から1時間圏内の目安で、荷物量や条件によって変わります。詳しくは料金表をご覧ください。故人さまの持ち物を扱う場合の費用の考え方は、遺品整理の費用相場の記事で詳しく解説しています。
残置物撤去の費用内訳(基本構成と、見積書で確認したい項目)
見積もりを比べるときは、総額だけでなく「その金額に何が含まれているか」の確認が欠かせません。七宝グループでは、費用の基本構成として人件費、車両費・資材費、処分費を公式サイトで案内しており、テレビ・冷蔵庫などの家電リサイクル料は別途としています。そのうえで、次のような項目は業者や現場によって扱いが分かれるため、見積書でどちらに含まれているかを個別に確認してください。
- 人件費(仕分け・搬出作業のスタッフ人数×時間)
- 車両費・資材費(梱包・養生の資材と、それらを運ぶ車両)
- 処分費(回収した荷物の処分費用)
- 家電リサイクル料の扱い(テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン)
- 設備の取り外し(エアコン・ストーブ・アンテナ・風呂釜など)
- 物置・車庫などの解体
- 清掃の範囲(簡易清掃までか、汚れへの対応を含むか)
- 仏壇・神棚などのお焚き上げ
- 出張費の有無
同じ総額でも、処分費や収集運搬まで含む見積もりと、作業費だけの見積もりでは意味が違います。「この金額で、どこまでやってもらえて、何が別料金か」を書面で確認してください。
残置物撤去の費用は誰が払う?場面別の考え方
「誰が払うか」は、契約・所有・相続の状況で変わります。ここでは一般的な考え方を場面別に整理します。個別のケースの判断は、契約書の内容確認と当事者間の協議、必要に応じて専門家への相談が前提です。
賃貸物件の退去
賃貸住宅の退去では、入居者が持ち込んだ荷物を退去日までに運び出し、部屋を明け渡すのが基本的な流れです。ただし、何をどこまで撤去するのか、費用をどちらが負担するのかは、賃貸借契約の内容や個別の事情によって変わります。まずお手元の契約書の条項を確認してください。原状回復の費用負担については、国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドラインが一般的な考え方を示しています。判断に迷う場合や当事者間で意見が分かれる場合は、管理会社・不動産会社や弁護士などの専門家にご相談ください。
入居者が亡くなった場合
賃貸住宅で入居者が亡くなった場合、残された家財は相続に関わる可能性があるため、貸主や管理会社であっても、その場の判断だけでは処分を進めにくい場面です。国土交通省と法務省は、主に単身の高齢者が亡くなった場合を想定して、契約の解除や残置物の処理についてあらかじめ取り決めをしておくための残置物の処理等に関するモデル契約条項を公開しています(利用が法令で義務づけられているものではありません)。処分の前に契約関係や相続人の状況を確認し、扱いに迷う場合は不動産会社や弁護士などの専門家にご相談ください。
なお札幌市では、賃貸住宅で入居者の退去後に残された物を家主や管理会社側が処理する場合、家庭ごみではなく事業ごみとして扱われることが案内されています。誰が処理するかによって、ごみの区分や処理ルートまで変わる点にご注意ください。
売買・リフォームの前
不動産の売買では、残置物を売主が撤去して引き渡すのか、一部を残す条件にするのかは、売買契約の条件によって決まります。リフォームの場合も、工事前にどこまで片付けておくかを工事業者と確認しておくと、見積もりの範囲が明確になります。
相続した実家
相続した家の残置物をどうするかは、相続の状況(相続人が誰か、相続放棄をするかどうかなど)や、家の扱いの方針によって変わります。費用の分担も、当事者間の協議によって決まっていくものです。形見や貴重品の扱いが絡むため、処分を急ぐ前に、残す物の確認と関係者間の話し合いを先に済ませ、判断に迷う場合は司法書士や弁護士などの専門家にご相談ください。
見積もり前に確認しておく7つのこと
見積もりを依頼する前に、次の7点を整理しておくと、現地確認がスムーズになり、見積もりの精度も上がります。
- 期限(退去日・引き渡し日・工事開始日)
- 対象範囲(家全体か、一部の部屋か。物置・車庫・ベランダを含むか)
- 残す物・探す物(貴重品・書類・形見)
- 建物条件(階数、エレベーターの有無、駐車スペース)
- 家電4品目や危険物の有無
- 収集運搬の許可ルートをどうするか(次の章で説明します)
- 買取査定に出したい物があるか
このリストをもとに複数社へ同じ条件を伝えると、見積もりを同じ土俵で比較できます。
安さだけで選ばない:収集運搬の許可ルートを確認する
残置物撤去の見積もりを比較するとき、金額と同じくらい重要なのが、家庭から出るごみをどのルートで収集運搬するかです。
一般廃棄物(家庭ごみ)の収集運搬を業として行うには、廃棄物処理法にもとづく市町村長の許可が必要です。札幌市では、片付けなどで一時的に大量に出る家庭ごみ(一度に400リットルを超えるような量)をまとめて処理する場合、市が許可する札幌市環境事業公社へ収集運搬を依頼する案内になっており、無許可の業者に依頼することはできません。詳しくは札幌市の一時的に多量に出るごみの処理についての案内をご確認ください。
また札幌市は、家庭の不用品処分を宣伝して回る違法な回収業者について、積み込んだ後で高額な請求をされる事件が札幌市内を含めて発生しているとして、注意を呼びかけています(違法な不用品回収業者にご注意ください|札幌市)。金額の安さだけで決めず、収集運搬をどのルートで行うのかの説明があるかを、契約前に確認してください。
函館市で行った遺品整理では、私たちの見積もりは他社より高い状態でした。それでも、回収したごみをどこへ持っていくのかという処理ルートの説明が決め手となってご依頼いただき、1日目に買取品・資源・処分品・貴重品の仕分けを行い、2日目に正規の許可を持つ一般廃棄物収集運搬業者が搬出・運搬する段取りで作業を完了しています。詳しくは函館市・法令順守を大切にした遺品整理の作業事例をご覧ください。
七宝グループでは、家庭ごみの処分を一般廃棄物収集運搬業許可を持つ提携先を通じて行っており、札幌市内の事例では札幌市環境事業公社を事前予約して作業しています。見積もりの席では「ごみはどこへ持っていきますか」と尋ねてみてください。業者を選ぶときの確認項目の一つになります。無許可回収業者の典型的なトラブルは、不用品回収業者は危険?の記事で詳しく解説しています。
札幌の残置物撤去の作業事例
費用の条件が実際の現場でどう表れるかを、リフォーム前の事例で紹介します。
リフォーム前に、家財整理から物置の解体までまとめて対応
札幌市のお客さまから、リフォーム業者が入る前に家の中をすべて片付けたいというご相談をいただきました。工事開始までの日数が少ない中、見積もり後に日程を調整し、家財の仕分け・搬出、不用品回収に加えて、物置の解体と神棚のお焚き上げまでを一括で行った事例です。
このように、残置物の撤去は単体ではなく、解体や供養などの周辺作業とセットで必要になることがあります。まとめて相談できる窓口があると、工程を整理しやすくなります。なお七宝グループでは、片付け後に必要になる不動産会社・リフォーム業者や、相続に必要な士業のご紹介にも対応しています(各分野の業務はそれぞれの専門業者・専門家が行います)。
豊平区・白石区の事例のほか、これまでの残置物撤去に関する作業記録は残置物撤去の事例一覧でご覧いただけます。
残置物撤去の費用に関するよくある質問
残置物撤去の相場はいくらですか
前提条件によって大きく変わるため、一律の相場ではお答えできません。荷物量・品目・搬出条件・仕分けの丁寧さ・期限・追加作業で金額が動きます。現地または写真で状況を確認したお見積もりで、金額と作業範囲をセットでご確認ください。
費用を誰が払うかで揉めています。どうすればよいですか
まず契約書(賃貸借契約・売買契約)の残置物や原状回復に関する条項を確認し、当事者間で協議してください。賃貸の原状回復については国土交通省のガイドラインが一般的な考え方を示しています。解決しない場合は、不動産会社や弁護士など専門家への相談をおすすめします。私たちは撤去作業のお見積もりと作業をお手伝いする立場のため、負担の法的な判断はできませんが、見積書は関係者間の話し合いの材料としてご利用いただけます。
急ぎでも対応してもらえますか
日程はその時々の予約状況によりますが、札幌市白石区の事例では、退去日が迫る中で見積もりから数日後に作業を開始できたケースがあります。期限が決まっている場合は、その日付を最初にお知らせください。収集運搬の手配を含めて、期限を踏まえた段取りをご提案します。
残置物の中に買い取れる物があれば、費用は下がりますか
査定の結果、買取できる品があれば、その分を作業費用から差し引ける場合があります。ただし買取額は品物の状態や市場によって変わるため、事前にお約束はできません。捨てる前に一度査定に出すことをおすすめします。
見積もりは無料ですか
はい、お見積もりは無料です。現地または写真で状況を確認し、作業範囲と金額を書面でご確認いただいたうえで、ご納得いただいてから契約に進みます。






