親の施設入居が決まった、実家を相続した、遠方に住んでいて様子を見に行けない。そうしたきっかけで「実家じまい」を考え始めたものの、何から手をつければよいか分からない。この記事は、そんな段階の方に向けた進め方のガイドです。
実家じまいは、家の中の片付けだけで終わりません。残す物を決める、貴重品や手続きに必要な書類を探す、家財を処分する、そして空いた家をどうするかを決める、という流れ全体を指します。一度に全部を考えると動けなくなるため、順番に分けて進めることが大切です。
この記事では、実家じまいの進め方を5つのステップに分け、家族で決めることと業者へ頼めることの線引き、費用の考え方、遠方からの進め方を、札幌・北海道での実際の作業事例とあわせて紹介します。
私たち七宝グループが泊村で行った家財整理では、施設に入られるご本人の「いるもの・いらないもの」という気持ちを、ご家族が尊重しながら仕分けを進めました。実家じまいで大切にしたいのは、この順番です。
実家じまいとは
実家じまいとは、親が住んでいた家を片付けて、家そのものの扱いを決めるまでの一連の整理を指します。親の施設入居や住み替え、亡くなった後の相続などをきっかけに、子ども世代が中心になって進めていく作業です。
似た言葉に「家じまい」がありますが、実家じまいは特に親の家が対象で、家財の整理と家の処分の両方を含む広い意味で使われています。
親が存命かどうかで進め方が変わる
同じ実家じまいでも、親が存命の場合と亡くなった後では、進め方の軸が変わります。
| 状況 | 進め方の軸 | 近い作業 |
|---|---|---|
| 親が存命(施設入居・住み替えなど) | ご本人の気持ちと意思確認が最優先。残す物はご本人が決める | 生前整理・家財整理 |
| 親が亡くなった後 | 相続の確認と期限が軸。残す物は家族・相続人が判断する | 遺品整理 |
親が存命の場合、周りから見れば使っていない物でも、ご本人にとっては思い出の詰まった品です。ご本人抜きで処分を進めると、あとで関係がこじれる原因になります。逆に亡くなった後の場合は、相続に関わる書類や貴重品の確認を先に済ませないと、処分をやり直せません。
実家じまいでやることの全体像
実家じまいでやることは、大きく3つの層に分かれます。
- 家財の整理残す物の判断、貴重品・書類の確保、仕分け、搬出、処分
- 家の扱い売却、解体、賃貸、空き家として維持のいずれかを決める
- 手続き相続登記、契約関係、税金などの確認
このうち私たち七宝グループのような片付けの業者が直接お手伝いできるのは1の家財の整理です。2と3は不動産会社・解体業者・司法書士などの専門家の領域で、七宝グループでは必要に応じて提携先の紹介が可能です。この区別を知っておくと、誰に何を相談すべきかが整理しやすくなります。
実家じまいを始める前に決める3つのこと
片付け作業に入る前に、次の3つを決めておくと、途中で迷いにくくなります。
期限を確認する
施設入居日、賃貸の退去日、売却や解体の予定日など、動かせない日付があるかを最初に確認します。期限がある場合は、そこから逆算して、家族で作業できる日数と業者へ頼む範囲を考えます。期限がない場合も、「次にきょうだいが集まる日まで」のように区切りを作ると進みやすくなります。
残す物・探す物を書き出す
作業を始める前に、残す物と探す物を決めておきます。特に次のような物は、処分の前に確保が必要です。
- 現金、通帳、印鑑、キャッシュカード
- 権利証や契約書などの重要書類、年金・保険の書類
- 鍵(家・車・貸金庫など)
- 写真、手紙、形見にしたい品
こうした物は、封筒や衣類のポケット、収納の奥など、ざっと見ただけでは分からない場所から見つかることがあります。「全部まとめて処分」を先にしてしまうと取り返しがつかないため、探し物の確保を先に行う順番が大切です。
家族の役割分担と連絡方法を決める
実家じまいでは、「これは捨ててよいか」という判断が何度も発生します。判断する人が決まっていないと、そのたびに作業が止まります。残す物を最終判断する人、親やきょうだいへの確認役、業者との窓口役を決め、迷った物の写真を共有する方法(LINEのグループなど)を用意しておくと、離れて暮らす家族とも進めやすくなります。
実家じまいの進め方5ステップ
全体の流れを5つのステップに分けて説明します。
- 親の気持ちを確認(存命の場合)
- 貴重品・書類を確保
- 4つに分ける残す・確認・査定・手放す
- 処分ルートを確認
- 家の扱いを決める
ステップ1 親の気持ちを確認する(存命の場合)
親が存命の実家じまいでは、ご本人の気持ちの確認から始めます。本人の同意がないまま片付けを進めると、「勝手に捨てられた」という気持ちが残り、その後の関係にも影響します。
泊村で行った施設入居に伴う家財整理では、ご本人の「いるもの・いらないもの」という仕分けの気持ちを、ご家族が一つひとつ尊重しながら進められていました。この現場は荷物が比較的少なく、朝9時から3名で作業し、15時頃に終了しています。関東から来られたご家族の帰りの飛行機に合わせた、時間厳守の条件のなかでの作業でした。
すべての実家がすぐに「片付ける・処分する」へ進む必要はありません。まず残す物を決める段階だけでも、ご本人と一緒に進めておく価値があります。
ステップ2 貴重品・書類を先に確保する
先ほど書き出した「残す物・探す物」を、手放す物と混ざらない場所へ移します。段ボールに「残す」「確認中」と書き、置き場所ごと分けておきます。誰かが先に善意で袋詰めしてしまうと、あとから貴重品を探し直すことになります。探し物の確保が終わるまで、大きな処分は進めないと家族で決めておいてください。
ステップ3 残す・確認・査定・手放すの4つに分ける
仕分けは「残す」「家族に確認する」「査定に出す」「手放す」の4分類で進めると迷いにくくなります。仕分けの詳しい手順や道具の準備は、遺品整理のやり方の記事で6つの手順に分けて解説していますので、実作業の際はあわせてご覧ください。
古い物だから価値がないとは限りません。昭和レトロの雑貨や食器、趣味の品、貴金属、年式の新しい家電などは、手放す前に査定できるかを確認する価値があります。
ステップ4 処分ルートを確認する
家財の処分は、自治体のルールに沿って進めます。札幌市の場合、実家の片付けで一時的に大量の家庭ごみが出るときの処理方法として、通常のごみステーションへの計画的な排出(一度に400リットル以下が目安)、市の処理施設への自己搬入、市が許可する札幌市環境事業公社への収集依頼が案内されています。家具などの大型ごみは事前申込制で、テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンの家電4品目は市では収集していません。詳しくは札幌市の一時的に多量に出るごみの処理についての案内をご確認ください。
業者へ片付けを依頼する場合も、家庭ごみの収集運搬は市の許可を受けたルートで行う必要があります。この点はのちほど業者選びの章で改めて説明します。
ステップ5 家の扱いを決める
家財の整理と並行して、空いた家をどうするかを考えます。選択肢は主に、売却する、解体して土地を活用する、賃貸に出す、当面は空き家として管理する、の4つです。
どれを選ぶかで、片付けの範囲も変わります。たとえば解体が決まっている場合は、買取できる品の確保と最低限の家財整理に絞る方法もありますが、家財をどこまで撤去しておく必要があるかは解体業者との契約や工事の条件で変わります。片付けの範囲を決める前に、解体業者へ確認しておくと安心です。売却・解体・賃貸は不動産会社や解体業者の領域のため、七宝グループでは片付けとあわせて、必要に応じて提携先をご紹介しています。
家族でやることと業者へ頼めることを分ける
実家じまいは、すべて家族でやるか、すべて業者へ任せるかの二択ではありません。家族にしかできないことと、業者へ頼めることを分けると、無理のない計画を立てられます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 家族にしかできないこと | 残す物・形見の判断、親の気持ちの確認、家の扱いの方針決定、相続に関わる判断 |
| 業者へ頼めること | 仕分けの補助、貴重品を探しながらの整理、家財の搬出、買取査定、簡易清掃、処分ルートの手配、鍵預かり・写真報告 |
業者へ相談した方がよいサイン
次のような状況では、家族だけで抱え込まず、業者への相談を検討する価値があります。
- 家全体・物置・車庫まで対象が広く、物量が多い
- 退去日や解体日など、動かせない期限が近い
- 階段のみの建物や大型家具など、搬出の負担が大きい
- 遠方に住んでいて、何度も通えない
- 思い出の品に向き合う気持ちの負担が大きい
業者選びで確認すること
実家の片付けを頼む業者は、金額だけでなく次の点を確認すると、依頼後の認識違いやトラブルを減らせます。
- 見積もりに含まれる作業範囲(仕分け・搬出・清掃・査定のどこまでか)
- 家庭ごみをどの許可ルートで収集運搬するか
- 買取査定に対応しているか(古物商許可の有無)
- 現金や貴重品が見つかったときの報告方法
- 追加料金が発生する条件
参考までに、七宝グループは古物商許可を保有し、代表が遺品整理士・事件現場特殊清掃士の認定を取得しています。家庭ごみの処分は、一般廃棄物収集運搬業許可を持つ提携先を通じて行っています。同じ内容を、比較する他社にも同じ言葉で確認してみてください。
遠方に住んでいても実家じまいは進められる
「実家は北海道、自分は本州」という場合でも、進め方はあります。七宝グループでは、遠方にお住まいの方からのご依頼を、おおむね次の流れでお受けしています。
- 電話・LINE・フォームでお問い合わせ
- お手持ちの写真の共有、または鍵をお預かりして現地確認のうえお見積もり
- 書面のお見積もりにご納得いただいてから契約・日程確定
- 作業前・作業中・完了後の写真をご報告し、作業後に鍵をご返却
詳しい流れは空き家片付けのサービスページで紹介しています。
事例:ご依頼者さまが不在で、ビデオ通話で確認しながら進めた事例です
札幌市中央区で行った施設入居に伴う生前整理では、ご依頼者さまが作業当日に体調を崩され、予定していた来札ができなくなりました。この現場では、「これは残しますか」という現場の確認をビデオ通話でやり取りしながら作業を進め、親戚の方にも手伝っていただきながら整理を終えています。
このご依頼では、お見積もりは他社より高かったそうですが、認知症のご家族への接し方と見積もり内容を見て選んでいただけました。後日、お礼のお手紙をいただいた現場でもあります。
また、苫小牧市の遺品整理では、作業前日に札幌で鍵をお預かりし、翌日はご依頼者さま不在のまま作業を行い、作業完了の時間に合わせて現地でご確認いただきました。立ち会いの負担を減らす方法は現場ごとに調整できますので、見積もり時にご相談ください。
実家じまいでかかる費用の考え方
「実家じまいの費用」として検索すると、サイトによって大きく幅のある金額が出てきます。幅が大きいのは、性質の違う3つの費用がまとめて語られているためです。
費用は「家財の片付け」「家の処分」「手続き」で別物
実家じまいで発生しうる費用は、次の3つに分けて考えると整理できます。
- 家財の片付けの費用:物量・間取り・搬出条件・買取の有無で変わる。片付け業者の見積もり対象
- 家の処分の費用:解体費や売却時の諸費用など。解体業者・不動産会社の見積もり対象
- 手続きの費用:相続登記や税金など。司法書士・税理士などの領域
七宝グループがお見積もりするのは、このうち家財の片付けの部分です。3つを分けて考えると、「総額でいくら」という漠然とした不安を、それぞれ誰に確認すべきかという具体的な問いに変えられます。
片付け費用の目安と変わる条件
家財の片付け費用は、荷物量、家具家電の有無、間取りや広さ、搬出条件で変わります。七宝グループの料金表では、遺品整理/生前整理の目安として1R・1Kで30,000円からなど、間取り別の相場を公開しています(札幌市内と札幌市内から1時間圏内の目安です)。同じ間取りでも物量で大きく変わるため、詳しくは料金表と遺品整理の費用相場の記事をご覧ください。
買取で実費を抑えられる場合もあります
処分する前に査定を挟むと、買取分を作業費用から差し引ける場合があります。札幌市厚別区の団地(広めの2LDK・階段4階)で行った家財整理では、鍵をお預かりして2日間作業し、仕分けの中で18Kのメガネフレームと現金が見つかり、ご依頼者さまへお返ししました。この事例では、家電やレトログッズの査定で買取総額が約6万円になっています。

買取額は品物の状態や市場で変わるため、金額を前提にはできません。それでも、手放す前に「査定できるか」を確認しておくと、処分するかどうかを判断する材料が一つ増えます。査定の対象や条件は、依頼先にご確認ください。
片付けた後の実家をどうするかまで、お気軽にご相談ください
家財の整理が終わったら、家そのものの扱いを決める段階です。
売却や解体を選ぶ場合は、不動産会社・解体業者への相談が必要です。七宝グループでは、お片付け後のご自宅の売却・空き家売却・解体について、提携業者のご紹介が可能です。相続した実家の場合は、相続登記の申請が2024年4月から義務化されているため、登記や税金などの手続きは司法書士などの専門家にご確認ください。こうした相続に関わる士業のご紹介にも対応しています。
「すぐには決められない」という場合、空き家のまま置いておく選択もありますが、固定資産税や建物の劣化、雪による損傷など、北海道の空き家には特有の注意点があります。空き家にしておくリスクと管理の考え方は、空き家片付けのサービスページで詳しく解説しています。
実家じまいのよくある質問
実家じまいは何から始めればよいですか
期限の確認と、残す物・探す物の書き出しから始めてください。処分を先に始めると、貴重品や手続きに必要な書類を探し直すことになります。親が存命の場合は、ご本人の気持ちの確認が最初の一歩です。
親が元気なうちに実家じまいを始めてもよいですか
はい。ご本人が元気なうちに始めると、残す物をご本人の意思で決めやすくなり、後からご家族が判断に迷う場面も減らしやすくなります。この場合は生前整理・家財整理として、ご本人のペースに合わせて進めます。
遠方に住んでいても依頼できますか
はい、ご相談いただけます。写真の共有や鍵のお預かり、作業前後の写真報告で、現地に何度も通わずに進めた事例があります。作業当日にビデオ通話で残す物を確認しながら進めた事例もあります。地域によっては出張費が発生する場合がありますので、まずは所在地をお知らせください。
貴重品や書類も探してもらえますか
はい。探している物を事前にお伝えください。私たちは封筒や衣類、バッグの中まで確認しながら仕分けることを心掛けており、実際の作業でも、封筒や収納、上着の中から現金や記念硬貨が見つかり、ご依頼者さまへお返しした事例があります。
費用はどの時点で分かりますか
物量・間取り・搬出条件・買取の有無を確認したお見積もりで判断できます。お見積もりは無料で、書面でご確認いただいてから契約に進みますので、まずは現地の状況をご相談ください。






